無題
物を失くす。物を失くす。そりゃもうすごい、失くす。
しかるべき場所に行けばしかるべき病名がつくだろうというくらいにわたしの手元からどんどん物が逃げていく。
いまさっきも、電車に乗るときにタッチしたはずのSuicaが降りるときにはどうしても見つからなくなって、駅のベンチに座り、大量の書類を出しながらリュックサックをひっくり返すはめになった。
どうして毎度毎度、先ほどまで手にしていたものが消えてしまうのか。
まずわたしは手もとに全然興味がない。いまどのポケットに何が入ってるのか全然わからない。持ち物に興味を持つことから始めたい。
で、これ失くしそうだなあとまで思う。絶対失くすなあ、普通のひとはそれでわかりやすいところにしまったりするのだろうけど、わたしは何もしない。
ので、失くす。
単純明快な話である。わたしは失くすことを予感して何も対策しないから失くすのだ。
おわり